能は、継承されている演劇としては「世界最古」といわれる日本独自の舞台芸術で、600年以上の歴史があり、
2008年にユネスコの世界無形文化遺産に指定されています。
お芝居のみならず、舞いや歌の要素ももつ音楽劇であり、西洋のオペラと対比されたりもしますが、同じ音楽劇でもその違いには目を見張るものがあります。また、能面をつけて演じられるという点で、仮面劇ともいえます。
能の大成者、世阿弥(ぜあみ)は、日本の演劇史上、最も重要な人物のひとりですが、世阿弥が、独自の芸術論である『風姿花伝』を著したのは、 シェークスピアが登場する200年近くも前のことです。
さて、能は完全な分業からなりたつ演劇で、謡と演技を担当する立方(たちかた)とこの立ち方の中にはシテ方 脇方 狂言方があり、伴奏担当の囃子方(ハヤシカタ)に分かれています。
また、能では、主人公を「シテ」と呼び、演じる役柄は、天狗や龍神など超自然的な存在の場合もあります。
能は「シテ中心主義」とも言われ、シテは一曲の主役であると同時に演出家でもあり、奏演者のキャスティングやどう演出するかなど演目全体の決定権をもっています。
世阿弥が総合プロデューサーとして天才的手腕を発揮したのもそのゆえんでしょう。
平成十三年五月「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」を行いました。
これは歴史、美術、民俗学、社会学、人類学、言語学、文化などの観点からたぐいない価値を有する伝統的文化の継承と発展を目的としており、日本からは「能楽」がこの第一回傑作として宣言されました。
老いの問題・心の問題・眼には見えぬ真実の問題・愛と憎しみ。天国と地獄・喜びと悲しみ。
大自然と人間の営みこれら全てが能のテーマです。
「能の世界」日本語版
「Watch the world of Noh on 」English edition